全顎矯正とは？メリット・デメリットや治療法などについて

歯列矯正のうち、全顎矯正とはどのような治療なのでしょうか。全顎矯正の良い点・悪い点、気になる費用や治療期間などについて解説します。矯正治療を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

全顎矯正とは、どんな治療？

歯列矯正には、部分的に気になる部分だけを治療する「部分矯正」と、上下すべての歯並び・かみ合わせを治療する「全顎矯正」があります。

全顎矯正とは、口の中すべての歯を対象に矯正を行うこと。場合によっては歯を抜くなどの処置をして、大きな歯の移動を伴うこともあります。歯並びだけでなく、かみ合わせも同時に治療するので咀嚼機能が改善し、虫歯や歯周病の予防にもなります。

 全顎矯正のメリット・デメリット

全顎矯正のメリット

• 歯並びが良くなる
• 見た目が良くなる
• 十分な咀嚼ができるようになる
• 唾液が正常に分泌される
• 発音が良くなる
• 虫歯や歯周病のリスクが減少する

全顎矯正はすべての歯が対象なので、理想的な歯並びとかみ合わせに近づけることができます。それによって、乱ぐい歯、出っ歯、受け口などの見た目が改善され、コンプレックス解消にもなります。かみ合わせが良くなることで、咀嚼や発音にも変化が。食べ物をよく噛むことができるため、胃腸への負担を減らし、口中の唾液も正常に分泌されるため、自浄作用も期待できます。

歯並びによって特定の発音がしにくかった場合には、きれいな発音ができるようになります。歯と歯の重なりがなくなることで、プラーク（歯垢）が溜まりにくくなり、虫歯や歯周病リスクも減少。歯磨きもしやすくなるため、さらにリスクを軽減することに繋がります。

全顎矯正のデメリット

• 治療期間が長い
• 使える装置が限定される
• 場合によっては歯を抜くなどの治療もある

全顎矯正は全ての歯にアプローチしていくため、治療期間が長くかかります。通常2〜3年、難しいケースではそれ以上かかることもあります。治療期間が長ければ、その分治療費も多くかかることになります。

部分矯正では患者の歯の状態によってさまざまな装置を使い分けることが可能です。一方、全顎矯正ではすべての歯を対象にしているので、使える装置に限りがあります。

ワイヤー（ブラケット）による全顎矯正とは？

 ワイヤー（ブラケット）矯正とは、歯の矯正と聞いて、1番に思い浮かぶワイヤーを使った治療方法のことです。歯にワイヤーを通せる装置（ブラケット）を装着し、そこにワイヤーを通して少しずつ歯を移動させていきます。ほとんどの不正咬合に対応可能ですが、喋ったときや笑ったときなどにワイヤーが見えてしまうため、矯正を迷う人もいます。しかし、透明なものやセラミックの装置もあるので、クリニックで相談しましょう。

また、矯正治療中は装置に食べ物のカスなどが溜まりやすく、虫歯には注意が必要です。

 マウスピースによる全顎矯正とは？

 マウスピース矯正とは、患者に合ったオーダーメイドの透明なマウスピースを製作し、段階を追って交換しながら歯の矯正を行う治療方法です。マウスピースは透明なため、装着していても目立たず、ワイヤー矯正に抵抗がある人にもおすすめ。金属アレルギーなどによって、ワイヤー矯正ができない人も、矯正治療が受けられます。

簡単に自分で取り外しできるため、人と合うときや運動時には外すという選択も自由。ただし、決められた時間（1日20時間程度）以上装着しなければなりません。また、抜歯が必要な場合など、複雑なケースには対応できないこともあります。

 全顎矯正の費用はどのくらい？

 一般的な歯列矯正は、健康保険の対象でないため、治療費用が高額になります。しかし、口蓋裂や顎変形小など、国が認めている症状であれば公的医療保険が適用されるケースもあるので、該当しそうな場合はクリニックに相談してみると良いでしょう。

矯正治療費の総額の目安は、以下の通りです。

• ワイヤー矯正（一般的な装置）…77〜120万円
• ワイヤー矯正（白・透明の装置）…85〜135万円
• マウスピース矯正（移動量が少ない）…55〜70万円
• マウスピース矯正（移動量が多い）…100〜140万円

クリニックの料金システムや元々の歯の状態によって値段に幅があります。かかる費用とメリット・デメリット、矯正の結果までを総合的によく検討し、慎重に治療法を選びましょう。

全顎矯正の治療期間はどれくらい？

全顎矯正にかかる期間は個人差が大きく、歯の状態や抜歯の有無などによって期間が変わってきます。

しかし、全顎矯正治療ではほとんどの場合、2年前後の治療期間がかかると思っていいでしょう。前歯の重なりや歯と歯の隙間は、約6ヶ月で改善が見られますが、かみ合わせや細かい段差の調整、歯の根の向きなどの治療で、2年程度はみておいてください。

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