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ここでは矯正治療において、リンガルブラケットを用いた矯正治療についての情報をまとめて紹介。歯の裏側に矯正装置を装着する方式ゆえに周囲に気づかれる心配はほぼないと言えるものの、注意すべき点やデメリットもあり。それらについて、詳しく掘り下げていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
英語に詳しい方はさておき、一般的に「リンガル」という言葉にあまり馴染みのない方が多いことと思われます。ここで言うリンガルとは、英語で「舌に関する」という意味をもつ“lingual”に由来します。そしてリンガルブラケットとは、歯の裏側=舌側に装着する矯正装置という意味になります。それこそ日本語では「裏側矯正」あるいは「舌側矯正」と表記されますので、むしろこちらの方が分かりやすいという感じになりますね。
仕組みとしては読んで字の通り、金属製のメタルブラケットを表側ではなく、歯の裏側に装着するというやり方になります。それこそ歯の表側にメタルブラケットを装着する一般的な矯正治療とは異なり、ギラギラした矯正装置を装着していることが、外観からはほぼ分からず、周囲の方に気が付かれる心配もほとんどないというのが大きな特色となっています。
実は歯科矯正の世界では、矯正治療そのものは行いたいと思っていても、金属製のメタルブラケットを歯の表側に装着することに抵抗を感じてしまうという方が一定数いらっしゃいます。それこそ、ギラギラの金属製の装置を装着している姿自体が恥ずかしいと感じてしまうのはもちろんのこと、学校や職場、ご近所など周囲の方々に矯正治療を行っていることが容易に知られてしまうという短所もあるからです。
そうした理由によって矯正治療を躊躇っていた方に対して、新たな選択肢として登場したのが審美ブラケットになります。金属ではなく、歯の色に近いセラミックやプラスチックなどの素材を用いることで、矯正装置を口内に装着していることが目立たないように工夫したものです。金属製の表側メタルブラケットしか選択肢がなかった時代と比べ、まさに画期的な出来事でした。
しかしながら、そんな審美ブラケットであっても、周囲に全く気づかれないというレベルを実現するまでには至っていません。歯に装着されるウイングという部分は歯に近い色で目立たなくなってはいますが、そこに通されるワイヤーは金属の色のままだからです。
そんな審美ブラケットによる矯正以上に、矯正装置を目立たないようにする方法がないか、試行錯誤のうえ考案されたのが、まさに逆転の発想と言える、歯の裏側に矯正装置を装着するリンガルブラケット方式だったのです。
繰り返しになりますが、リンガルブラケットのメリットは何と言っても、歯の裏側に矯正装置を装着するため、審美ブラケット以上に目立たず、周囲の方々にもより気づかれにくいという点に尽きます。それこそ表側装着のメタルブラケットによる矯正に抵抗を感じてしまうという方にとっては、絶好の選択肢と言えるでしょう。
また、歯の裏側に装着するという仕組みゆえのメリットとして、虫歯や歯周病などが起こりにくいという点も見逃せません。実は歯の裏側というのは表側に比べ、より多くの唾液に触れているため、表側よりも虫歯や歯周病になりにくいという性質があります。それゆえ、表側に矯正ブラケットを装着した場合に比べ、虫歯や歯周病が発生してしまうリスクが大きく軽減されます。
さらには、歯の表側に矯正装置を装着すると、摩擦によって歯に傷跡がついてしまうことがままありますが、リンガルブラケットであれば傷がついてしまったとしても、裏側なので目立ってしまうということがありません。
一方、リンガルブラケットは歯の裏側に装着するという方式ゆえに、装着した際に感じる違和感・異物感は、表側に装着する矯正装置と比べ、より大きくなってしまうのは否めません。特に舌が接触してしまうことが多くなり、場合によっては舌を傷つけてしまうこともあり得ます。
また装着しているうちに慣れてはくるものの、言葉が非装着時よりは発しにくくなりがち。特にサ行、タ行が発音しづらくなるという傾向があります。上の前歯の装置が下の前歯にあたるため、食べ物が咬みにくくなるということも起きがちです。
そして最大のデメリットと言えるのは、表側に装着するブラケットよりも費用が高くなってしまい、矯正治療にかかる期間も長くなってしまう傾向にあるという点です。リンガルブラケットを検討する際は、これらのメリットとデメリットの双方をよくよく考えた上で、判断することが重要です。
なお、上記のデメリットを軽減する方策として「ハーフリンガル」というやり方もあります。目立ちやすい上側の歯は裏側装着のリンガルブラケット。比較的目立ちにくい下側の歯は、表側に矯正装置を装着するという方式です。まさにいいとこ取りを狙った中間的なやり方と言えるでしょう。こうした方法もあるということも、選択肢とひとつとして、ぜひ知っておいてください。
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