歯並びが悪いと不眠症になるの？

歯並びが悪いと不眠症になると聞いたことがあるかもしれません。不眠症の原因はストレスや生活習慣、その他の全身疾患などと言われていますが、歯並びや噛み合わせも深い関連性があると言われています。不眠症や睡眠時無呼吸症候群との関係性、さらに不眠症が引き起こす口腔トラブルについても紹介していきます。

歯並びと不眠症の関係

歯並びが悪いと噛み合わせがズレます。それによって、周囲にある神経や筋肉、関節などがいつも緊張状態となり、自律神経を乱すことに繋がってしまいます。

自律神経とは、脳と身体を活発にするため日中優位に働く「交換神経」、夕方から夜にかけて優位に働き、心拍数や血圧を下げて身体を休めようとする「副交感神経」の2つがあります。

夜は副交感神経が優位になるはずなのですが、歯並びが悪いことで歯に偏った力がかかり、脳の活動状態が続いて交感神経を刺激し続けてしまうのです。

交感神経が優位になると夜になっても眠れなくなってしまいます。

歯並びが睡眠に及ぼす影響

不眠症の他にも、歯並びが睡眠に深く影響を与えていることもわかってきています。

そもそも歯並びが悪いのは、顎が小さいから。顎が小さく窮屈なために、歯がきれいに並んで生えることができず歯並びが悪くなる原因となります。

顎が小さいことはいびきの原因とも言われ、いびきがひどい人は「睡眠時呼吸障害」という病名が付けられることも。いびきによって睡眠時の血中酸素濃度が低下し、寝ても疲れが取れない、日中眠くて仕方がないといった日常生活に支障をきたすことになります。

睡眠時無呼吸症候群は歯並びと関係ある？

睡眠無呼吸症候群とは？

睡眠無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が10秒以上止まってしまう疾患のことです。1時間あたり5回以上の無呼吸、または呼吸が弱くなる場合に診断されます。

ほとんどの場合、大きめのいびきを伴い、大きく3種類に分類されます。1つ目は肥満などにより喉が塞がってしまう「閉塞型」、2つ目は脳や神経などの異常で呼吸をするための筋肉へ指令が届かなくなる「中枢型」です。3つ目は「閉塞型」と「中枢型」が混じった「混合型」。

睡眠時無呼吸症候群の原因で最も多いのは「閉塞型」ですが、顎が小さい人が多い日本人は、痩せている人でも閉塞型の無呼吸症候群になる人がいます。

歯科医師と睡眠時無呼吸症候群の関わり

歯科医師は歯だけを治療するのではなく、口の中や顎も専門的に診ています。つまり、睡眠時無呼吸症候群のリスクがある骨格的な不具合を見つけやすいのです。

実際に、睡眠時無呼吸症候群の治療では、マウスピースをつけるものがあります。病気の診断は医科で行いますが、マウスピースを作る際には、歯科医が患者の口の中を検査し、患者に合った噛み合わせになるよう製作していきます。

眠る時にマウスピースを付けることで、口の中の気道をしっかり確保し、睡眠時の無呼吸を改善していくのです。

不眠症が原因で起こる口腔トラブルとは？

睡眠不足と歯周病

歯周病とは、歯と歯肉の間が汚れていると、そこに溜まった細菌が歯肉に炎症を起こす病気です。進行すると歯肉が徐々に下がっていき、歯の土台である骨まで溶かしてしまいます。最悪の場合、歯を抜くことになる怖い病気なのです。

なぜ睡眠不足が歯周病を引き起こすかというと、糖尿病という怖い病気もからんでくるからです。糖尿病は歯周病の進行を早め、歯周病になると血糖値コントロールができなくなるという、悪循環になってしまいます。

歯並びと糖尿病の関わり

前述したように、歯並びが悪いと睡眠不足になりやすくなります。そして睡眠不足は、食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減少し、食欲を増進させるホルモン「グレリン」が増加することに。

睡眠不足で食事の量が増えると、体重が増え、血糖値が上がります。

さらには、睡眠時間が短いとインスリンの働きを抑えるホルモンが増え、血糖値上昇を促す結果にもなります。

このような悪循環によって、血糖値のコントロールができなくなり、糖尿病のリスクが高まってしまうのです。

糖尿病が発症すると、歯周病まで悪化するというさらなる悪循環が待っています。そうなる前に、そもそもの原因である歯並びを治すことを検討することをおすすめします。

そして、歯を清潔にし、しっかり睡眠をとることを心がけましょう。

歯並びが気になっている人は、信頼のできる歯科医に相談してみるといいですね。

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