矯正時に起きる知覚過敏とは

「知覚過敏」とは虫歯ではないのに、歯ブラシの毛先が触れたり冷たい飲食物などを口にした時にしみるような痛みを感じる症状のことです。矯正治療を始めることで、発症する方もいます。ここでは対処法などを紹介していますので、現在知覚過敏に悩んでいる方やこれから矯正治療を始める方は参考にしてください。

知覚過敏が起きる仕組み

歯の構造

歯が白いのは外側がエナメル質という硬い組織に覆われているからです。そのすぐ内部に象牙質という柔らかい組織があり、象牙細管という表層部から歯の神経まで続いている無数の穴が空いています。そして歯の一番内側に神経が通っているのです。歯茎の場合はすぐ下にセメント質があり、その下に象牙質があります。

なぜ知覚過敏になるのか

上記で紹介した歯の構造のうち、一番外側のエナメル質が何らかの理由によって削られたり、歯茎が下がることで象牙質が露出してしまうことがあります。そこに歯ブラシの毛先や、冷たすぎたり熱すぎたりする飲食物が当たることで、象牙細管を通って刺激が直接神経に伝わり、痛みを発生させるのです。

矯正時に知覚過敏になる理由

知覚過敏になる原因は、強い力での歯磨きによってエナメル質が削られたり噛み合わせの異常など様々ですが、なぜ矯正治療中に起こるのでしょうか。

まず、矯正治療では凸凹していた歯が大きく動きます。そのためこれまで外部に触れていなかった歯茎と根っこの間などに隙間ができ、象牙質が露出してしまうのです。

他にも、矯正治療中に歯を並べる隙間を確保するため、歯のやすり掛けを行うことがあるのですが、この処置によって知覚過敏の症状が出る場合もあります。しかし、これはエナメル質の範囲内で行われているのであくまで一時的のようです。

また、矯正中は普段よりも丁寧な歯磨きを求められるのですが、適切な力加減で行えていないのが原因で知覚過敏になることもあります。

矯正時の知覚過敏への対処法

矯正治療に伴う知覚過敏は一時的なものが多いので、様子をみるという対処をとられる場合が多いですが、どうしても辛い場合は以下のような対処法があります。

歯科医院での対処法

象牙質をコーティングする

知覚過敏の治療で1番目にあげられるのが象牙質のコーティングになります。レジン（樹脂）や歯科用のセメントなどを用いて露出してしまった象牙質をコーティングし、刺激を遮断するのです。

ただし、日常的な歯磨きなどによってコーティング材は徐々にすり減っていきますので、定期的な治療が必要になります。

治療薬を用いる

象牙質が露出してしまっていることが知覚過敏の大きな原因とご紹介しました。フッ化物などが配合されている治療薬を用いて、露出した象牙質を覆うことで症状を抑えられるようです。

なお、治療薬の塗布は1度では効果が薄いため、数回に分けて塗布する必要があります。

詰め物による保護

露出してしまった象牙質を削って、レジンで詰め物をします。

象牙質のコーティングを複数回行っているのに効果が薄く、歯茎が下がり象牙質が露出している場合に用いられる治療法です。

ただし、矯正のためのマウスピースが合わなくなったり、治療した箇所が虫歯になりやすかったりといったデメリットもあるので、まずは他の治療法から試すことになるでしょう。

自宅でできる対処法

歯磨きの力加減を調節する

強い力で歯磨きを行なってしまうことが知覚過敏になる大きな原因です。まずは普段の歯磨きをより優しく行うように注意してみてください。

知覚過敏用の歯磨き粉を使う

市販の歯磨き粉にも知覚過敏用のものが多くあります。

知覚過敏用の歯磨き粉には「硫酸カリウム」が配合されており、これが露出してしまった象牙質をカバーして刺激を伝わりにくくしてくれるのです。

また、歯科医院やネットで購入できる知覚過敏用の歯磨き粉の中にも効果が期待できるものもあります。歯科医師とよく相談して使用するものを決めてください。

こういった歯磨き粉を使用することで、知覚過敏を少しでも軽減できるでしょう。

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