奥歯の矯正治療

矯正といえば、銀色の金具を装着したイメージがあるかもしれませんが、奥歯の矯正治療とはどういうものなのでしょうか？奥歯の矯正治療の特徴や治療期間などを詳しくまとめました。自分に合う方法を選ぶ時の参考にしてください。

奥歯の矯正治療について

奥歯の矯正を検討する上で重要なポイントは噛み合わせです。奥歯にはその人の体重とほぼ同じだけの力がかかるといわれてますので、それだけ噛み合わせを重視する奥歯の矯正には、長期間の治療が必要です。

奥歯の矯正治療の特徴

奥歯の矯正は、噛み合わせに熟知した矯正専門医による診断が必要不可欠です。噛み合わせに不具合があると、物を噛む際の咀嚼機能が正常に働かなくなり、うまく噛めないことで虫歯や歯周病などの他の歯科疾患を起こしてしまい、大切な自分の歯を失う原因にもなってしまいます。また、奥歯の噛み合わせが悪いと口腔内のバランスまで悪くなってしまいますので、その結果、舌の動きも悪くなり、舌がうまく動かせないことで物をうまく飲み込むことが難しくなる場合もあり、一条生活に大きな弊害が出てしまいます。

また、歯ぎしりや顔の歪み、常に首や肩が凝るという症状も、QOL（クオリティオブライフ、生活の質のこと）を大きく下げてしまう要因となります。噛み合わせの良し悪しは顎のすぐ近くにある脳の働きにも影響を及ぼしてしまいますし、現代社会で増加傾向にある、様々な不定愁訴の原因のひとつとして考える医師もいるほどです。

歯科矯正では、見た目の審美性が治療のゴールとなりがちで、外から見える前歯などと比べて、奥歯の噛み合わせの矯正治療は軽んじられがち。しかし多くの場合、乳歯から永久歯に生え変わる際に一生涯の歯並びや噛み合わせの状態が決定し、それ以降は自然に改善することはありません。だからこそ歯の矯正は必要なもので、全身の健康をも左右する噛み合わせを改善する上で、奥歯の適切な矯正治療が重要になるのは当然なと言えます。

失った歯の隙間を埋めることが可能

奥歯を虫歯などで失った場合、通常なら両サイドの歯を土台にして人工の歯をブリッジで補ったり、インプラント治療を行ったりする必要があります。しかしブリッジは、両サイドの健康な歯を削る必要がありますし、インプラント治療は高額であるという問題点がありますので、矯正治療によって奥の歯を手前に移動させることで隙間を閉じるという治療をおすすめします。矯正治療では、このように一部の歯だけを動かすこともできて、比較的リーズナブルな費用で治療することができますし、今ある健康な歯を削ることなく治療ができることも大きなメリットです。

親知らずを奥歯として利用

親知らずなどの奥歯を、1本分手前に移動する治療もあります。これによって、親知らずを抜歯したり、神経の治療をして被せ物をしたりすることなく、親知らずを普通に噛み合う奥歯として使うことが可能です。親知らずを奥歯として利用する治療方法が有効な場合、親知らずの移植やブリッジ、入れ歯、インプラントなどの他の治療方法よりも安全で、長持ちするという大きなメリットがあります。

奥歯の矯正治療は、インプラントと違って自分の歯を使いますので、歯の掃除が簡単にできるというメリットもあります。また、全体的な治療や歯並びが悪い場合でも合わせて治療することも可能で、年齢に関係なくできるという利点も。また、奥歯を移植する場合は大きな外科手術が必要で、歯の神経の治療をして歯を削らなければいけませんが、親知らずを奥歯として利用する矯正治療では、健康な歯を削るなどの必要はありません。

反対に、基本的に大きな歯を動かす治療ですので、上下の全部の歯に矯正装置をつける必要があることがまずデメリットとして挙げられます。奥歯の部分矯正ができる場合もありますが、マウスピース矯正では治療ができませんし、矯正治療ですので保険適用外となります。また、装置をつけてから最短でも2年ぐらいかかる、長期の治療です。

奥歯の矯正治療は、親知らずの手前の歯などの抜けている奥歯があったり、虫歯が進行してしまって抜かなくてはいけない歯がある（抜歯を予定している）人、親知らずをより有効利用したいと考えている人、矯正治療を考えていて奥歯の移動も同時に行いたいという人に向いている治療方法です。

具体的な症例としては、右下3本の奥歯を1本分手前に、左下2本の奥歯を1本分手前に移動、上の歯のない所に移植を行って歯がない箇所を改善したり、右下の親知らずを1本分手前に、左下の奥歯を2本を1本分手前に移動するものです。

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