歯並び矯正治療と滑舌の関係

矯正治療中は滑舌が悪くなるというウワサは本当なのでしょうか。ここでは、歯並びの矯正治療が滑舌に与える影響や簡単な対策をまとめて紹介します。

矯正治療中は滑舌が悪くなる？

矯正方法によって滑舌への影響度合いは異なる

結論からいうと、歯並びの矯正治療は滑舌に影響を与えます。ただし、どの程度の影響を与えるかは矯正方法や個人によって異なります。

滑舌、つまり言葉を滑らかに発音する上では、舌がスムーズに動くことが非常に重要です。矯正治療中には、種類の差こそあれど口の中に矯正器具を装着することになるため、舌を動かせるスペースが制限され、発音に影響が出ることがあります。特に、まだ矯正器具に慣れていない治療初期の段階では、滑舌への影響が出やすいといえます。

舌側矯正、マウスピース矯正は影響が大きい

数ある矯正治療方法のなかでも、特に滑舌に与える影響が大きいのが舌側矯正とマウスピース矯正と言われています。

舌側矯正は別名「裏側矯正」とも呼ばれ、歯の表側に矯正器具を装着する従来の治療方法とは異なり、歯の裏側つまり舌側に矯正器具を付ける治療方法です。外側からは矯正器具を付けていることが目立たないというメリットがある反面、矯正器具が常に舌に触れているため、舌の動きが制限されて滑舌が悪くなりやすい点がデメリットになります。

マウスピース矯正は、その名の通りマウスピースを装着することで歯並びを改善する治療方法です。他の矯正治療とは異なり、いつでも好きな時に取り外しが可能な点が大きなメリットです。しかし舌側矯正と同様、装着時は常に舌の動きが制限されるため、こちらも滑舌に与える影響は大きくなります。

滑舌が悪くなる原因

矯正器具によって舌を置くスペースが狭くなる

矯正器具を付けると、なぜ滑舌に影響が出るのでしょうか。

理由は大きく2つあり、一つ目は矯正器具が口の中でスペースを取るため、本体舌を置いていたスペースが奪われることです。したがって、常に口の中に何か含んでいるような感覚になり、言葉も滑らかに発音できない場合があります。矯正器具に慣れるまでは、常に飴を舐めながら話しているような苦労を感じるかもしれません。

矯正器具が舌の動きを阻害する

矯正器具を付けると滑舌が悪くなる理由の二つ目は、口内に装着した矯正器具が舌の正常な動きを阻害することです。

一般的に「滑舌が良い」とされる話し方とは、舌が柔軟に動くことによって言葉を一音ずつ正しく発声できている状態を指します。矯正器具を装着するということは、言うなれば口の中に異物を含んでいる状態であるため、舌の動きが制限されるのは当然のことと言えます。

今では、舌の動きを邪魔しないような薄い作りの矯正装置も開発されていますが、依然として矯正器具は多かれ少なかれ滑舌に影響を及ぼすといえます。

矯正治療中の滑舌改善方法

早口言葉などで舌の動きを慣らす

矯正治療中でもできる滑舌の改善方法としては、早口言葉が挙げられます。歯並びの矯正治療中に限らず代表的な滑舌克服方法ですが、お金もかからず誰でも簡単に取り組めることから、歯科医院でも推奨されていることが多い改善方法です。

早口言葉を練習する上でのコツは、初めから早く言おうとして発音をおざなりにするのではなく、口を大きく動かして綺麗な発音を心がけることです。次第に口周りの筋肉が柔らかくなり、上手に発音できるようになります。遅めのスピードから練習して、慣れてきたら徐々にスピードを上げて口周りの筋肉を鍛えましょう。

舌の筋肉を鍛える

早口言葉で口周りの筋肉を鍛えるのとあわせて、舌の筋肉も鍛えることでより効果的な滑舌改善が期待できます。なぜなら滑舌が良い状態とは、書いて字のごとく「滑らかな舌の動き」によって成り立つものであり、舌は筋肉によって動いているからです。

簡単に実践できる舌の筋トレとしては、あっかんべーをするように思い切り舌を出す方法があります。天井を向いて思い切り舌を出し、そのまま数秒間キープして、舌を元に戻す、という動きをセットで繰り返します。舌の根っこあたりや顎の下側が疲れてきたら、筋トレが効いている証拠です。無理のない回数で毎日続けることが大切です。

マウスピース矯正なら取り外し可能

人前では取り外せるため目立たない

「歯並びは改善したいけど、滑舌が気になる」という方におすすめなのが、マウスピースを用いた矯正治療です。「マウスピース矯正は滑舌に与える影響が大きい」と上述しましたが、マウスピース矯正にはTPOに合わせて自由に取り外せるという大きなメリットがあるからです。

声が拾いづらい電話越しの会話、大事なプレゼン、大切な相手との会話など、滑舌を気にせずに話したい時にはマウスピースを外していつも通り話せます。

一方で、声を発さず一人で過ごす時間などにマウスピースをつけることで、着実に悲壮の花ならびへと改善できます。

透明で装着時でも気付かれにくい

取り外しの自由度が高いことに加えて、マウスピース矯正には装着時にも外から目立ちにくいという利点もあります。

通称「インビザライン」と呼ばれるマウスピース矯正には、透明のマウスピースが用いられます。3Dスキャンで解析した歯形のデータに基づいてオーダーメイドされるマウスピースは歯にフィットするだけでなく、透明度が高いため付けていても滅多に気づかれません。「なるべく目立たずに矯正治療を受けたい」というニーズにも答えるのが、マウスピースという歯並び矯正治療なのです。

まとめ

歯並びの矯正治療では、口の中に矯正器具を装着するため、多かれ少なかれ滑舌が悪くなる可能性があります。中でも、舌側矯正やマウスピース矯正は常に舌と矯正装置が触れ合っているため、滑舌に与える影響が大きい矯正方法と言われています。

ただしマウスピース矯正の場合は、滑舌を気にせず話したい場面では自由にマウスピースを取り外せる点が大きなメリットです。

滑舌の克服方法としては、早口言葉や舌の筋トレなどで簡単に改善することができるため、毎日コツコツ実践することが大切です。

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